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MIDSUMMER CAROL ~ガマ王子VSザリガニ魔人☆大阪4月14日、16日 [舞台全般]

あれから2週間も経っちゃったんですが、ガマ王子の感想を書いておきます。
記憶は曖昧になってきてるけど、でも、しっかりと心に残っている。そんな舞台。
なんせもう一度観たくて、大阪楽の当日券に並んだくらいですから。^^

MIDSUMMER CAROL ~ガマ王子VSザリガニ魔人 シアタードラマシティHP
 - いじわるとよわむしたちの記憶 -

作:後藤ひろひと 演出:G2

CAST:
吉田鋼太郎(大貫[(株)ソラール会長])、志村玲那(パコ[少女])、
笠原浩夫(室町[俳優])、新妻聖子(光岡[看護婦])、
山内圭哉(龍門寺[暴力団員])、中山祐一朗(滝田[消防士])、
戸次重幸(浩一[大貫の甥]・浩二)、月船さらら(雅美[看護婦、浩一の妻])、
楠見薫(木之元[主婦)、春風亭昇太(堀米)、
岡田浩暉(浅野[医師])

MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人 G2プロデュースHP

観劇日: 4月14日14列下手、4月16日25列上手、シアター・ドラマシティ

 
初めて観た日の直後の感想はこちらをどうぞ。 
いじわるとよわむしたちの記憶
秋には映画が公開されるそうなので物語のネタバレはなるべく触れずにと思いましたが、
でもやっぱりあるので、気になる方はご注意くださいね。

6.jpg

「おまえが私を知っているというだけで腹が立つ」
誰にでもそんな罵りの言葉を投げつける頑固者の老人。
それが吉田鋼太郎さんが演じる大貫という男。
大会社の会長で権力も富も有しながら、ちっとも幸せそうじゃない。
誰彼構わず怒鳴り散らすし、庭に出るのに近いからと、
マーガレットが咲き誇る花壇を踏みつけて出ていくようなそんな老人。
我侭し放題で、いつも苦虫を噛み潰したような顔をしている。
そんな大貫が入院先の病院で出会った少女がパコ。
事故の影響で記憶障害を持ち、その日の記憶しかない彼女との出会い。
それが老人を変えていく。

パンフレットにG2さんも吉田さんも書いてはりますが、
長く生きてきた人間がそうそう変われるわけがない、これは奇跡の物語なのだと。
確かにそうかもしれない。ただ、大貫という老人はそれが例え罵詈雑言だとしても、
いつも誰かに話しかけていた。自分だけの強い信念で突き進んできた人生。
でも、ほんの僅かだけど、パコちゃんが彼の心の奥底にまでするりと入ることができる、
そんな隙間が残されていた。それこそが奇跡なんだろうとも思うし、
それが人間なんだろうとも思う。

台本は初演の時からほとんど変えてないけど、演出は変えてはるとか。
残念ながら初演は観ていないので、そこのところはよくわかりません。
パンフレットのG2さんの言葉だけを拾い上げてみると、
初演は「ある出来事が一人の男を変えてしまった奇跡」としての大人のファンタジー。
今回は「人間はそんなに簡単には自分を変えることはできない」ことを前提にしてはったとか。
変わりたいと願うようになったことは奇跡だが、現実にはなかなか変わることができない。
そんな自分との苦闘。それでも「何度も立ち上がる」という「心の奇跡」だと。
その「心の奇跡」をあますことなく観せてくれた。それが、G2さんの演出であり、
吉田さん達キャストの皆さまなのだ。もちろん、後藤さんの本自体が魅力的なのは間違いない。
この本で10年食えると仰ったくらいだから。それだけのものが注ぎ込まれている。
涙だけでなく、笑いもふんだんに溢れている。後藤&G2ワールドは好きだなあ。

今回は(今回も、と書くべきか、笑)予備知識は全くなくいきなり観ました。
「ガマ王子VSザリガニ魔人」という名前から想像していたのとはまるで違ってた。
MIDSUMMER CAROL・・・真夏のクリスマス・キャロル。
そのことを意識したのは観ている途中。なんともはや、、、ですけど、
そんな私でさえ、一幕からしっかりと引き込まれた。

待合室での大貫とパコの二人だけの会話。奇跡が起こる直前。
絵本に書かれたメッセージを読む大貫の震える言葉に思わず泣いていた。
内容はある程度予測できていたと思うのに、いや、少なくとも二度めはわかっていたはずなのに、
それでもあの場面ではどうしても涙がぼろっと出てくる。場面設定もだけど、
大貫役の吉田さんとパコ役の志村玲那ちゃんの二人に泣かされてしまうんだと思う。

吉田鋼太郎さん。
シェフクスピア俳優というか、蜷川さんの舞台に数多く出演されている、
そんな印象が強くある割には舞台を拝見するのは初めてなのかも?
とてもいい役者さんだと思いました。舞台の上で大きな存在感がある。
一人の少女と出会って変わり行く様がよく出ていて、一緒に笑ったり、泣いたり。
威圧感のあるような大柄で少し強面の俳優さんなのですが、
パコちゃんと一緒に本を読む大貫は本当に可愛らしかった。
それは微笑ましい光景でもあり、泣きたいような切ない光景でもあり。
そして迎えた結末。ダーリン曰く、吉田さんのあそこでの演技は日々違ってると、
心のままに演じてる?それが観るものにストレートに伝わる。
ほんの一瞬だけだから触らせてあげて!と私もどれだけ心の中で叫んだか。
またいつか、舞台でお会いしたいと思います。

志村玲那ちゃん。若干13歳。
オーディションを勝ち抜きパコ役を射止め、ヒロイン役で初舞台なんだとか。
台詞の発声とか、もちろん、他の役者さんに比べたらまだまだですが、
でも、舞台の上で独特の雰囲気をかもし出していたと思う。よかったよー!
大貫役の吉田さんとの息もぴったりでしたね。これからも頑張って。^^

新妻聖子ちゃん。最初、わからなかった。それくらいの驚き。
出演していることはわかっていたはずなんだけど、もしや光岡が新妻ちゃん?!
そう思った時はちょっと目が点!くらいな衝撃。歌わない役というだけでもびっくりでしたが、
私の抱いていたイメージを気持ちよく吹き飛ばしてくれました。新らしい境地を開いたね。
めっちゃよかったよー。ぶっきらぼうで言葉も悪いけど、でも、光岡は大好きです。
室町くんとの繋がりには泣けるよね。切ない思いが伝わってくる。
それと、メダカ役の新妻ちゃんがこれまためっちゃ可愛いー。いいよねえ。
今までは私の中でそんなに大きな存在じゃなかったんだけど、今後が楽しみになりました。
またいつかどこかで!

山内圭哉さん。思いっきり大阪弁なのが嬉しい。
「IZO」の山内さんもよかったけど、龍門寺役も山内さんらしくて大好き。
暴力団員のはずなのに、ちょっとオマヌケで、動物が好きで、人情もあって、
ガラの悪いあんちゃんなのにどこか憎めない、そんな存在。
胸の内を吐き出すように不器用に泣くシーンでは泣いていいんだか、笑っていいんだか。
客席はどちらかというと大爆笑なんだけど、でも、龍門寺は泣いてるよね。
あのシーンはもちろんダーリンのツボです。思いっきりアドリブ満載なんだもの。
あの時の吉田さん。じっと俯いてるけど、笑いを堪えてるようにも見えて、
なんだかそちらも気になるの~。アメンボ役もバッチリで楽しい。
また近々、観に行くことになると思います。楽しみにしております。^^

岡田浩暉さん。
マリウス役を観て以来、大好きな役者さんの一人なので楽しみでした。
今回は肩の力を抜いた演技がとてもよかった。本当はできる医師なんだろうけど、
医者は苦手だと言ってみたり、さぼって魚釣りに行こうとしてみたり、
そんな風にちょっといい加減でやんちゃなところがなんとも微笑ましい存在。
それでいて、それぞれの患者さん一人一人をきちんと見ている。
花壇での事件での時のこと、大貫に涙を止める方法を教える時のこと、
いろんな人生を抱える人達の中にいて、ふんわりと包み込む優しい眼差しをしている。
そんところが岡田さんにぴったりでした。映画では上川さんがされるのよね。
どうなるんだろう?

楠見薫さん。いやー、もう、めっちゃんこよかったです。
出てきた時からとても印象的で、なんだか目がいっちゃうんですよね。
ガマ姫はサイコー!でした。ジャージ姿での練習シーンもめっちゃ笑える。
あれはもう吉本以上というか、何度観ても笑えるのね。間合いもいいし、
お笑いの勢いがある。大好きやわ。関西出身なのも嬉しい。
シリアスものからコメディものまで、なんでもできそうな役者さん。
また是非舞台でお会いしたいです。

春風亭昇太さん。
ストーリー・テーラーでありながら、どこまでも不可思議な存在。
後藤さんの作らしいキャラ。その不可思議な役を絶妙な間合いで演じられてました。
おかしかったのは劇中劇の中でアドリブ満載で喋るシーンがあるんだけど、
大阪楽の時にとても長くて。誰も止めないなあと笑いながら観ていたんですけど、
ここは大貫役の吉田さんが出てこないと終れないシーンなんだとか。
そういえばそうだ。どこまで喋り続けるのか、脇で楽しんではったのかしら。
吉田さんたら、意地悪というか、お茶目やわ(笑)。
この日のカテコの時に山内さんが、僕は自分で終われるからと振ると、
昇太さんは真顔で「生き地獄でした」と仰ってました。お疲れさまでした。

月船さららさん。宝塚のご出身なんですね。
このカンパニーは本当に多彩な顔ぶれ。「ブゲゲー!」は笑いました。
いつもスパルタで夫に厳しい妻だけど、一生懸命さには惹かれます。

笠原浩夫さん。内田朝陽さんが急病により急遽登板。
大人になれない俳優。自殺を繰り返す情けない役を好演されていたと思う。
光岡とのやり取りには涙。何度も何度も台詞を繰り返す場面。
オカマのザリガニ魔人もよかったよ。

中山祐一朗さん。
お間抜けだけど真っ直ぐな消防士の役。不器用なところがいいですね。
(思いっきりネタバレだけど)雨を降らすシーンはカッコよかったよ。

戸次重幸さん。
親子二代、語られる話の中の人物と聞き役の二役を上手に演じてたと思う。
浩一は思いっきり頼りないけど憎めない役ですね。

物語のクライマックス。真夏のクリスマス・キャロル。

  ごめんよみんな。どうしてなのかは知らないけれど涙がいっぱい出てくるよ。
  けれど何度も立ち上がる。不思議な力がそうさせる。 
  心のかたすみに急に生まれたこの気持ち・・・ごめんよみんな

ガマ王子の台詞はそのまま大貫の想いでもある。
そして、変わろうとしていたのは、変わったいったのは大貫一人ではない。
大貫のような老人でなくても大人になってから自分を変えるのは難しいこと。
それでも何かに気付き、今までの自分を変えようとするなら、
奇跡は起こるのかもしれません。

二幕は笑って泣いて、泣いて笑って、また泣いて、胸が熱くなる。
持っていたハンドタオルが鼻水で2日ともぐちゃぐゃでした。
これはもう舞台でしか味わえないものだと思って、DVDの予約はしなかった。
その思いは今も変わらない。あの舞台から伝わってくる気迫というか、
いろんな色や音や匂い、そんな空気はあの場にいた人しか味わえない。
そう思ってる。でも、やっぱりDVDも買っちゃうかもしれません。。。
あのキャストでまた観てみたいから。

カテコは両日共に和やかな雰囲気でした。
オール・スタンディングとあたたかい拍手。何度も何度も鳴り止まなくて、
山内さんの「いつまでやっとんじゃい」(ちょっと違うかも?)というお約束の後に、
昇太さんや岡田さんが喋ってくださったりと楽しかったです。
最後は吉田さん。お喋りは苦手なのか、「ありがとうございました」と深々とお辞儀をされる。
その様子もよかったわ。

後藤さん、G2さん、キャストの皆さま、スタッフの皆さま、
お疲れさまでした。本当にありがとうございました。
映画も楽しみですが、またいつか舞台で観てみたいと願っています。

できれば同じキャストで!と思うけどそれは難しいのかな。
後藤さん、G2さん、よろしくお願いしますー!

映画の公式HPはこちらです。 パコと魔法の絵本
キャストの設定とか、少し変わっているようですね。

最後に。
ラストで
流れる瓜生明希葉さんの♪Endless story♪が心に沁みます。
この歌が入ったアルバムが会場で販売されていたので購入。
しかも、私が買うよりも早くダーリンが買ってた。相当気に入ってる様子。
これはオリジナル・サウンドトラックはないんですが、いいですよ。
私は舞台は観てませんが「人間風車」「ダブリンの鐘つきカビ人間」の劇中歌も入っています。
彼女のファースト・アルバムだとか。これからの彼女にも期待!

1.jpgキャメレオン

  • アーティスト: 瓜生明希葉
  • 出版社/メーカー: インディーズ・メーカー
  • 発売日: 2005/10/05
  • メディア: CD

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kanon

くりちゃん、nice!ありがとう。^^
by kanon (2008-05-01 02:02) 

まぐろとわさび

岡田くんは(to be conti〜)のボーカルでしたよね。
ミュージシャンの頃は好きで良く聴いていました。
懐かしいなぁ。まだ活躍されていると知って嬉しい(^-^)
by まぐろとわさび (2008-05-02 07:08) 

kanon

まぐわささん、こんにちは。^^
そうそう。岡田さんは(to be conti〜)のボーカルさんです。
よくご存知ですね。私はわかってなくて。最初に舞台で観た時に、
バンドをされていたと知った時はびっくりしました。
ミュージカルで歌も歌ったりされます。好きなんですよ。岡田さん。
笑顔が優しいの♪
by kanon (2008-05-02 17:55) 

ぶるです

やっだぁ~ 
観劇に・・・行きたくなってしまいました!
(八月まで予定がないの。。。)

映画の予告を見て、「見たい!」と思ってたら・・・
かのんさんのレポ!で ますます見たくなりました!

岡田さんの「マリウス」良かったですよね!
バンドのときより、今の方が好きかも・・・

by ぶるです (2008-05-04 01:26) 

kanon

★ぶるさん、楽しんでくれて、ありがとう。
観劇は8月ってことは新感線かな?私も行きます。
楽しみよね。お芝居じゃないけど、、、
ウィーンミュージカルコンサートは行かないのかしら?

岡田さんの「マリウス」はよかったよね。
あれ以来、好きになりました。またマリウスで観たいよー。

★xml_xslさん、魔女さん、nice!ありがとうごさいます♪

by kanon (2008-05-07 21:29) 

kanon

Periちゃん、こちらにもnice!ありがとう♪
by kanon (2008-05-17 20:26) 

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