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INOUE☆SHAKESPEARE「リチャード三世」☆12月28日大阪千秋楽 [劇団☆新感線]

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昨年の話ですみません。私の覚え書き程度の感想です。
大した内容はありませんが、これから観られる方はご注意くださいね。
ちょっと辛口な感想になるかと。

パルコ・プロデュース公演 いのうえmeetsシェイクスピア リチャード三世
ウィリアム・シェイクスピア作、いのうえひでのり演出

【観劇日】12月28日(日)大阪千秋楽 1階P列下手、シアターBRAVA!

 
【キャスト】古田新太(リチャード三世役)、安田成美(アン)、
榎木孝明(スタンリー卿)、大森博史(バッキンガム公役)、
三田和代(故ヨーク公爵夫人)、銀粉蝶(マーガレット役)、久世星佳(エリザベス)、
天宮 良(リヴァース伯)、山本 亨(ヘイスティングズ卿)、増沢 望(ケイツビー)、
西川忠志(ラトクリフ)、川久保拓司(リッチモンド伯)、森本亮治(ドーセット候)、
藤木 孝(エドワード四世王)、若松武史(クラレンス公ジョージ)
逆木圭一郎、河野まさと、村木 仁、礒野慎吾、吉田メタル、川原正嗣、藤家 剛

  天才演出家いのうえひでのり、
  満を持して遂にシェイクスピアの封印を解く!
  演劇史上最強の悪党宣言!
  これぞ怪優・古田新太、真骨頂のピカレスク!

これ〈↑〉が今回の公演の宣伝文句。
暗くて重たいのは苦手だから、演目としては期待していなかったのですが、
それでも古田さんの悪役ぶりを密かに楽しみにはしていたのですよ。

でも、それがそうでもなくて。ちょっとがっかり~。
古田さんにはとことん狡猾でいやらしい悪党になってほしかった。
コミカルな部分とのメリハリがないんですよね。

開演前に舞台ですぐ目に入るのが両脇に多数設置されたTV。
ああ、またこの演出かー!とちょっとため息。〈私は苦手なのですよ〉
TVとスクリーンにニュースのような映像や、時には台詞そのものが映し出される。
古田さんがPCを携帯していて、記録のためか、時折マイクを使って喋る。
原作で描かれている時代と今とを交錯させていく。
その織り交ぜ方とか、いのうえさんらしくて悪くないと思う。
終わってみたら、苦手な映像多用も今回はそんなに嫌ではなかったしね。
照明は相変わらずきれいで、やっぱり新感線の舞台は好きだなあと。

ただ、お芝居としてはまだまだまとまっていないというか、
少しぼやけた印象でした。新感線だから後半に向けてよくなると思うけど、
古田さんと安田さんのお二人がどこまで変わることができるのか?

ちょっとよくわかりません。

安田さんのアンはおきれいだし、凛とした立ち姿など、
役柄としては合っていると思う。でも、台詞から感情が伝わってこなくて。
言葉だけが上滑りしてしまっている感じなのね。

特に一幕でのリチャードとアンの台詞の応酬の場面が物足りない。
アンの心の葛藤はもちろん、リチャードの悪の魅惑のようなものも感じられない。
こんなんで結婚する気になっちゃうの?て疑問だらけ、みたいな。
(余計なお世話、、、ですが〉

そんなわけで前半を観終わった後の私達の感想は「中途半端やな」でした。
ダーリンは一幕の途中はちょっと寝てたらしい。〈汗〉

主役のお二人もですが、全体的にも中途半端というか、
いのうえさんなんだから、もっともっと新感線らしくやってしまうか、
あるいは、とことん正統派シェークスピアにするのか、

そのどちらかに徹してほしかったな。
そういう意味では後半の方が新感線らしくてよかったです。

「リチャード三世」は蜷川さん演出、市村さん主演を2004年に観ています。
この時の市村さんの印象がもの凄く強いので、そのせいもあるかもしれません。
特に印象に残っているのは市村リチャードと夏木エリザベスとの台詞の応酬。
二人の気迫に圧倒されたのを今でも覚えています。

今回のこの場面での久世エリザベスはよかった。
氷のような冷たさと、恐くて危うい気品が漂っていて、気迫も十分でした。
対する古田さんも他の場面よりも気持が入っていたような気がします。

故ヨーク公爵夫人役の三田さん、マーガレット役の銀粉蝶さん、
男性陣では榎木スタンリー卿、大森バッキンガム公などかよかったわ。
三田さん、銀粉蝶さんのお二人は舞台での存在感が大きくて、
(いい意味で)魔女的な恐さというか凄みが全身に漂っていました。
榎本さんはTVでもよくお見かけする俳優さんですが、舞台も合うというか、
立ち姿がびしっと決まってました。

川久保リッチモンド伯はおいしい役ですよね。カッコイイ!
戦いに挑む前の演説をする超カッコイイ場面で台詞をかんじゃったのには
思わず笑っちゃいましたが。まあ、それもご愛嬌ってことで。
〈ちなみに、古田さん台詞噛み過ぎ~〉

二幕の後半は殺陣のシーンも多くて、
そこはやっぱり新感線というか、きれいで迫力がある。
そこからラストまで一気に向かうところなど、
後半はテンポもよくて、最後はスッキリと終わります。

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もう一度観たいかというと、一度でいいや、というのが正直なところですが、
でも、古田さんがどう変わるのか、それともこのままなのか、興味はあります。
古田さんがまだ本気を出していないんじゃないか、そういう気もするし、
いや、リチャードを飄々と演じるのが古田さんなのだ、だから変わらない、とも思う。
どちらかわからない。まっ、そういう風に思わせるのが古田さんなんでしょうけど。
私としてはもっと全身全霊、本気で悪役に挑む古田さんが観たかったな、と。

いろいろと書いちゃいましたが、最後に古田さんへ。

役者歴25周年おめでとうございます♪

めっちゃいい加減なようで、実は真面目なのかどうか、
いつもはぐらかされてる気がしますが、でも、役者としての自分を楽しんでいる、
そんな古田さんがいいなと思う。これからも楽しみにしていますね。

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  終演後の空。夕焼けがきれいでした。

古田新太俳優生活25周年のもうひとつの作品、
いのうえ歌舞伎「蜉蝣峠」はどうしましょ?クドカンさんは苦手なんだけど、
新感線メンバーが勢揃いだし、堤さんや梶原善ちゃんも出るしなあ。

 なんだかんだ言いつつも観たくなるよね。チケット取れるかなあ。


タグ:舞台 新感線
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もも

古田リチャードは22日なので、練れてる事を期待します。
私も市村さんのリチャードが、印象に残っていて、今も歩く姿が目に浮かびます。
蜉蝣峠は、4月8日に観る予定です。
今月は、野田さんのパイパーも観ます。
by もも (2009-01-07 20:20) 

kanon

皆さま、nice!をありがとうございます!
by kanon (2009-01-08 00:41) 

kanon

ももさん、こんばんは。いつもありがとうございます。
あー、やはり市村さんのリチャードを観られてるんですね。
古田リチャードを観るまでは比べるつもりとかなかったんですが、
やっぱり市村さんは凄いなあと思ってしまいました。
でも、22日までまだ2週間もあるし、新感線だから変わっていくと思います。
楽しんできてくださいね。^^

蜉蝣峠はやはり行きたいなと今更ながら。
それと、「三文オペラ」と「ムサシ」が観れたらいいなと。
どちらもチケットはまだなのでかなり不安ですが。(汗)
野田さんは重たい気がしてほとんど観てないんですが、
今回はどうなんでしょうか。
by kanon (2009-01-08 00:41) 

Peridot

この公演は結局チケットとらず。。。

by Peridot (2009-01-10 20:12) 

kyoko

新感線・・・観てみようかしら? なんか場違いなコメント・・・ですね。(汗)

by kyoko (2009-01-11 12:21) 

kanon

★Periちゃん、こんばんは。
そっかー。チケットを取ってないんだね。私も微妙なんだけど、
とりあえず観ておこうかなと。堤さんも出てるしねー。

★kyokoさん、こんばんは。
次の公演は微妙なのですが、でも、新感線はお奨めです。
座付き作家の中島さんが脚本の時が私は好きです。^^
by kanon (2009-01-11 22:24) 

さらは

こんばんは!
遅れてですが、今日(もう昨日か)、赤坂ACTシアターで観てきました。
リチャード三世。
私的には、ちょっとあのモニターが観難くて、役者さんと交互に見てしまうと集中できないとか、マイクを通すと台詞が返って良く聞こえなくて(これは場所とか劇場の問題なのかしら?)とかはありましたが・・。私もちょっと中途半端な感じは否めなかったと・・・。
愛嬌のある古田さんは良かったですけど、私ももっと裏表?のメリハリが色濃く出た物を見たかったなと。久世さんが良かったですね。
演出はいのうえさんだなぁと思いながらみていました。
いのうえさんの演出も好きですが、私は蜷川さんの演出もすきなので(かのんさんはあまりお好きではないのですよね・・。)正統派なリチャードということでしたけど、それだったらメタルマクベスみたいに思いっきり派手なのか、また逆にシリアスなの希望というか・・・。昨日蜷川さんのシェイクスピア・冬物語を観たから余計にそう思ったのかも。
3月の新感線のぶたいはやっと取れたので楽しみです!!

by さらは (2009-01-25 00:49) 

さらは

余談ですが、(^^;
蜷川さんの演出はシェイクスピアもそれなりに好きですが、一番好きなのは日本の文芸作品や清水邦夫さんの作品をやったときの演出です。
by さらは (2009-01-25 00:53) 

もも

22日に観ました。
1幕は、単調で時々睡魔と戦いました。古田さんは、悪というよりガキ大将のように感じました。
三田さんが出ていらした時に、舞台が引き締まった感があって、流石だなと思いました。
アンがリチャードとの結婚を決めるシーンは、私も?でした。自分の夫を殺した男を、あんなに簡単に許せるなんて、、、
2幕は、テンポもよくて新感線らしく、面白かったです。
一番印象的だったのは、三田さん、久世さん、銀粉蝶さんのシーンでした。
それぞれの心情が、迫力十分に語られ、引き込まれました。
全体の印象は、kanonさんに同感です。中途半端でしたね?
正統派か新感線風か、はっきりすべきだったと思います。
by もも (2009-01-25 12:49) 

kanon

★さらはちゃん、こんばんは。^^

今週末までだったよね。
この時点で中途半端ってことは、もうそのままかな?

私もあのモニターは苦手なのよ~。
なんか気になっちゃって。舞台に集中し辛い。

それと古田さん。私ももっともっと裏表のメリハリがほしかった。
久世さんはよかったよね。好きです。^^

蜷川さんの演出は確かに苦手なのですが、
リチャード三世は市村さんがよかったのもあって、蜷川さんの方がイイ。
今回は後に残るものがほとんどないんだよね。

メタマクはいのうえさんの演出だけどこちらも好きではなくて。
〈クドカンは苦手?みたいです)でも、あれは思いっきり新感線で、
それはそれでいいと思う。自分の好みは別にしてね。
3月に観るのね。クドカンさんなので、どうなるんだろう。。。

>一番好きなのは日本の文芸作品や清水邦夫さんの作品をやったときの演出です。

なるほど。
今度、そういうところにも気を付けて選んでみます。

★ももさん、こんばんは。^^

やはり中途半端でしたか。。。
アンがリチャードとの結婚を決めるシーンは??ですよね。
そうそう。古田さんはガキ大将みたいでした。

2幕は新感線らしいですよね。
三田さん、久世さん、銀粉蝶さんは本当に迫力があってよかった。
その割に古田さんの迫力が感じられなくて残念。

感想がほとんど同じで、今回の場合はいいのか、どうか。
この終盤になってからでさえ大阪の時と印象が変わらないなんて、
うーん。。。春はどうなるんでしょう。
by kanon (2009-01-26 23:39) 

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