二月花形歌舞伎☆2月5日第二部、2月6日第一部 [舞台全般]
染さんと亀ちゃんが観たくて、東京まで行ってきました。
二月花形歌舞伎。よかったです。
『二月花形歌舞伎』 於: ル・テアトル銀座
★第二部 『女殺油地獄(おんなごろしあぶらのじごく)』
近松門左衛門作(人形浄瑠璃、世話物、三段)
【観劇日】2月5日 21列中央
【配役】市川 染五郎(河内屋与兵衛)、市川 亀治郎(お吉)、
市川 高麗蔵(芸者小菊)、坂東 亀三郎(小栗八弥)、中村 亀鶴(兄 太兵衛)、
澤村 宗之助(妹 おかち)、松本 錦吾(叔父 森右衛門)、市川 門之助(豊嶋屋七左衛門)、
坂東 彦三郎(父 徳兵衛)、片岡 秀太郎(母 おさわ)、他
☆第一部 猿之助四十八撰の内『於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)』
四世鶴屋南北作(世話物、三幕)
【観劇日】2月6日 2階BOX席
【配役】市川 亀治郎(お染/久松/竹川/小糸/土手のお六/貞昌/お光)、
市川 染五郎 (鬼門の喜兵衛)、坂東 亀三郎 (髪結亀吉)、中村 亀鶴 (船頭長吉)、
澤村 宗之助(油屋多三郎)、市川 笑也(女猿廻しお作)、市川 門之助(庵崎久作)、
坂東 秀調(油屋太郎七)、大谷 友右衛門 (山家屋清兵衛)、他
染さんは劇団☆新感線で観て以来、大好きな役者さん。
そう思って歌舞伎も観たりしたんですが、役が合わないのか、
私が観た時はどうもパッとしなくて。
先月観た歌舞伎にも出てはって、今までの中ではよかったんですけどね。
でもまだ(私が勝手にですが)期待しているほどではなくて。
まあ、私自身は歌舞伎は数回しか観たことがなく、
そんなわけで詳しくもなく、染さんが出ているとはいえ、メインの役どころでもない、
そういう演目ばかりだったので、それも影響していたんだとは思います。
とはいえ、ちょっと残念だったの。
いのうえ歌舞伎で色気のある、笑いも取れる、素敵な役者さんだったから。
ずっと応援はしていて、いつか歌舞伎で、染さん、いい役者さんだなあ、と思いたい、
そんな風に思ってました。染さんの声が好きなんですよねえ。
そして、今回はこれまた大好きな役者さんである、
亀ちゃんとの共演、それぞれがメインとなる演目ということで是非観たい!
と思って勢いで東京まで行くことにしたものの、
『女殺油地獄』の方はあまり期待してなくて。(ごめんなさい~)
チケットの売れ行きもお昼の方がいいし、どうなんだろう、、、
と正直ちょっと思っていたんですよ。
でも、よかった
与兵衛のいい加減で単純で甘ったれたところや、
色気のあるところ風情が染さんにぴったり合っていると思う。
それと、やっぱり声が好き
よく通る独特の声と、歌うようによどみなく滑らかな言い回し。
見せ場の「豊嶋屋油店」の場では染さんも亀ちゃんも大熱演。
油(舞台では本物の油ではなくフノリを使うそう)で
ぬるぬるの床を二人で這いずり回る。逃げる方も、追う方も必死だ。
ようやく、お吉を捕まえて羽交い絞めにする時の与兵衛の壮絶な表情。
思わず引き込まれました。
与兵衛の役は片岡仁左衛門さんに教わったという染さん。
仁左衛門さんに「一つ一つが絵になっていないといけない」と言われたとか。
まさに絵になっていました。
与兵衛の養父役の坂東 彦三郎さんと母役の片岡 秀太郎さんもよかった。
お二人が出てくると、音羽屋! 松嶋屋!の掛け声がたくさん掛かってました。
「豊嶋屋油店」の場で示すの二人の深い情愛には思わず涙が
後から思うと、そうやって息子を甘やかしてきたのがいけないんだよ~、
と思うんですが、でも、泣けちゃいますね。
お吉の亭主、七左衛門役の市川 門之助さんもよかったです。
通常は殺しの「豊嶋屋油店」の場で終わることが多いそうですが、
今回はその後の捕らえられる場面まであり、全幕になるみたいです。
私は通し狂言の方が好きなので、その点もよかった。
今回はル・テアトル銀座ということで花道は仮設で短いんですが、
二幕の途中に染さんが客席の中を観客の方をいじりながら通る演出があって、
それは楽しかった。芸能レポーターの武藤さん?も来られていたみたいで、
思いっきり絡まれてました。(笑)
ここまでの第二部の感想は観た当日にホテルで書いたもの。
その後、翌日に第一部を観ました。こちらもよかったですー
通称「お染の七役」と呼ばれる第一部の演目。
今回は亀ちゃんが主要人物七役を早替りで演じます。
歌舞伎の技(というのか?)としての早替り、
それ自体にはあまりそそれるものはなかったんですが、
一人で七役を演じ分ける、しかも、それを亀ちゃんがやる、
というので観てみたくなったんですよね。
いやー、もう、見事に七役を演じていて、素晴らしかったです
七役早替りということであら筋くらいはわかっていた方がいいだろうと、
パンフレットの筋書きを読んだりしたんですが(前夜だけど)、
当然とはいえ、出てくる役、出てくる役、どれも亀ちゃんばかりで。
読めば読むほどこんがらがりそうでした
でも、舞台そのものの方がわかりやすくて、おもしろかった。
いや、もう、さすがですねえ、亀ちゃん
亀ちゃんの声もいいんだよねえ。
早替りも趣向としては派手さがあって、楽しめました。
傘に隠れた一瞬で別の役、しかも男女が入れ替わることもあったりと、
思わず身を乗り出してしまうようなのもあったりして驚かされてばかり
特に、七役全てが出てくる序幕の第一場の「柳島妙見の場」は
早替りを観るだけでも単純に楽しめると思います。
それ以上に、私はお六(亀ちゃん)と夫の喜兵衛(染さん)が出てくる、
序幕三場の「小梅莨屋の場」、ニ幕目第一場「瓦町油屋の場」が物語的にも好きですね。
亀ちゃんのお六は他のどの役よりも似合ってる。
色っぽくて艶のある女性ですが、男気や度胸もあって、いい女なんだよねえ
そして、染さんがまたいいのよねえ
前日の第二部で観た染さんとは化粧や声色も違っていて、見得を切るのがカッコイイ
化粧は「隈取り」と言うものなんでしょうか。(← よくわかっていない)
桶にトン!と飛び乗るところとか、惚れ惚れしちゃいます。
新感線とはまた違うけど、染さん、いい役者さんだなあと嬉しくなった。
前夜に引き続き、久作役の市川 門之助さんがこの日もよかったです。
それと、番頭 善六役の松本錦弥さんもよかったわ。笑わせてもらいました。
全体的には第一部の方が華やかで艶やかで楽しめると思います。
ただ、ラストの大詰は踊りが多くて、私的にはそれまでの方がおもしろかった。
お光の踊りは可憐な若い女性に見えて素敵なんだけどね~。
そんなわけで、第一部も第二部もどちらも楽しかったです。
忙しい2月に東京遠征はちょっとしんどかったけど、
でも、歌舞伎の楽しさがようやくちょこっとわかってきた、、、
かもしれない。(たぶん、笑)行ってよかったです。
染さんと、亀ちゃんは今後も楽しみです
以下、自分のために松竹のHPから抜粋。あらすじです。
『女殺油地獄』とは―――
近松門左衛門が享保六年(1721)に書いた世話物で、同年五月に金に困った油屋の息子が同業の女房、お吉を殺して処刑された事件を題材にした浄瑠璃です。その後、明治になって歌舞伎として上演されました。
主人公の与兵衛は感情の赴くまま行動する青年で表面は強がっていても根は気弱な性格。すぐカッとなる与兵衛の人間像は彼の家庭環境、複雑な事情から形成されており、近松の人間観察の厳しさが表れています。
町でうわさの放蕩息子の河内屋与兵衛(染五郎)は、借金を作り、自らの喧嘩の不始末により伯父森右衛門が職を辞することとなりますが、あいかわらずの放蕩三昧を続けています。実は父・徳兵衛は主人亡きあとに婿に入った義理の父親で甘やかして育てたのが災いしたのです。ついに、与兵衛は家を追われ、同業の油屋豊嶋屋のお吉(亀治郎)の元で、父、母の自分へのやさしい思いを痛感し、父に迷惑をかけたくないと思います。しかし、お吉に更なる借金の無心を断られると、ついにはお吉を殺してしまいます。ここに自分本位で刹那的な感情のまま行動する与兵衛の人間性が表れています。
油屋での殺しの場は凄惨でまさに油地獄のタイトルに相応しく、人間の暗部、感情の深いところがまさしくむき出しになる場面です。
また、今回は「豊嶋屋逮夜の場」を上演します。お吉を手にかけたあとの与兵衛が描かれる注目の舞台です。
『お染七役』とは―――
宝永年間(1704~1711)に、大坂で起こったお染と久松の心中事件は世間を賑わし、すぐに歌舞伎や人形浄瑠璃に取り上げられました。文化十年(1813)三月、江戸森田座において、大南北と称される四世鶴屋南北の作により初演されました。主要人物七役を早替わりで演じるという趣向が受け、大人気となった作品です。
質店油屋の娘お染(亀治郎)と山家屋清兵衛の縁談が進められていますが、お染には久松(亀治郎)という言い交わした相手がいます。しかし、久松にもお光(亀治郎)という許嫁があり、元は武家の子息で、紛失した御家の重宝の短刀と折紙を捜しています。姉の竹川(亀治郎)も久松の身を案じ、短刀の探索の金の工面を土手のお六(亀治郎)に頼みます。お六と亭主の鬼門の喜兵衛(染五郎)は、油屋で金を騙し取ろうとしますが、あえなく失敗します。一方お染は、久松の子を宿しながらも、母親の貞昌(亀治郎)の説得にあい、ついに家を抜け出します...。
主人公のお染から丁稚・久松、奥女中・竹川、後家・貞昌、芸者・小糸、許嫁・お光、土手のお六とスリリングに展開される早替りは見応えの連続です。傘やござ等を巧みに使い、二人の人物がポンとぶつかった途端に入れ替わる等見事な早替りが展開されます。
また久松の生まれ、御家騒動の背景、御家の重宝の剣の探索の話が綴られ、南北らしい人間のおかしみや陰惨な場面が展開されます。
それと、土曜日に食べた天婦羅の中から季節ものなど。
白魚に、
フキノトウ
タラノメ
子持ちワカサギ
そら豆
季節ものじゃないけど、ここの海老はやっぱり好き。
〆の天茶もいいよねえ。
近藤さんはお年を取られた感じはしたけど、でも、まだまだ頑張ってはりますね。
お店に油売りの絵皿が飾ってありました。
今回の歌舞伎はどちらも油売りが出てくるので思わず写真に。
ご馳走さまでした。
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