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NINAGAWA十二夜☆大阪、7月15日、7月25日 [舞台全般]

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書こうと思いながら、書いてなかったこと。
まずは暑い夏の頃に観た舞台のお話から。

7月の「NINAGAWA十二夜」です。  「NINAGAWA十二夜」公式HP
記憶はかなり曖昧なのですが、とてもよかったので、
メモ程度のものだけでも残しておこうと思います。

【観劇日】7月15日夜の部、3階最前列下手、7月25日夜の部、1階19列センター、大阪松竹座
【演出】蜷川幸雄  【作】W・シェイクスピア  【翻訳】小田島雄志 

【出演】 斯波主膳之助/獅子丸実は琵琶姫尾 上 菊之助
                        織笛姫  中 村 時 蔵
                             右大弁安藤英竹  中 村 翫 雀
                                 大篠左大臣  中 村 錦之助
                                                      麻阿  市 川 亀治郎
                                  役人頭嵯應覚兵衛  坂 東 亀三郎
                                            従者久利男  尾 上 松 也
                                            海斗鳰兵衛  河原崎 権十郎
                                               従者幡太  坂 東 秀 調
                                            比叡庵五郎  市 川 團 蔵
                                         舟長磯右衛門  市 川 段四郎
                                      左大弁洞院鐘道  市 川 左團次
                                   丸尾坊太夫/捨助  尾 上 菊五郎

                 http://www.kabuki-bito.jp/juniya/images/cast.jpg


『十二夜』("Twelfth Night, or What You Will")は、シェイクスピア作の喜劇。
副題は「御意のままに」。

ちなみに、「十二夜」とはクリスマスから数えて12日目、
一連のクリスマス祝いの最終日にあたる1月6日の顕現日の夜のこと。
東方の三博士がキリストの誕生を祝うために現れた夜だそう。
クリスマスからこの日にかけて舞踏や演劇が盛大に催されたようですが、
劇中には十二夜の行事に関わるような台詞はないようです。

『十二夜』を歌舞伎仕立てにしたのが『NINAGAWA十二夜』。
尾上菊之助さんのラブコールにより実現した蜷川さんの歌舞伎初演出作品、
なんだそう。2005年に歌舞伎座にて初演、2007年に再演の後、
今年の3月にはロンドンのバービカンセンターで上演、
その凱旋公演として、この夏に東京の新橋演舞場、大阪松竹座で上演。

実は今年になるまでこの作品のことを知らなかったというか[あせあせ(飛び散る汗)]
蜷川歌舞伎に全く興味のない私達だったんですが[あせあせ(飛び散る汗)][あせあせ(飛び散る汗)]
日曜夜のTV番組「情熱大陸」で、菊之助さんと「十二夜」のロンドン公演の様子を
取り上げているのを観てから、大阪で上演されるなら是非観てみたいなと。
(感化されやすいというか、ミーハーというか、でも、よかったのよ、情熱大陸)

そんなわけで、蜷川歌舞伎を観るのは今回が初めてです。
今まで散々、蜷川さんの舞台は苦手だと書いてきたんですが、
春の「ムサシ」もそうでしたが喜劇ものは楽しいですね。
しかも歌舞伎になっているところがまたおもしろい。
歌舞伎ならではの華やかさが蜷川さんの演出とあいまって、
とても素敵な舞台に仕上がっていました。

役者さん達は主演の菊之助さんをはじめとして
出演されている皆さんが全員歌舞伎役者さんなのでやはり上手いというか、
立ち居振る舞いなど、所作がとても美しい。

かといって、普段の歌舞伎ほど難しくなく、とっつきやすい。
シェークスピアだからと身構える必要も全くない。
ほどよく歌舞伎の品を保ちながら、歌舞伎素人の私達にも楽しめる。
そんな作品に仕上がっていました。今回は特にロンドン公演向けに、
三幕仕立てから二幕構成(序幕、二幕)にして、上演時間も30分弱短くしたり、
浄瑠璃をなくしたりと、歌舞伎を知らないロンドンっ子でも楽しめるよう、
よりわかりやすい演出/構成にしたようです。 

その序幕の始まり。幕が開くとそこには一面の鏡。
そこにライトアップされた客席が映し出されるのにはびっくり~。
この鏡は舞台の間ずっとあるので、好みは分かれると思いますが、
蜷川さんらしい派手な演出で、
始まった途端に観客の心を舞台に釘付けにする効果は抜群。
客席の皆さんがおおー!とどよめく様子が伝わってきます。

更に、驚く間もなく、咲き乱れる満開の桜が浮かび上がる。
舞台では宴が催されており、チェンバロの演奏で三人の幼子が歌う。
これがまたいいのよねえ。このシーンは大好き。

菊之助さんが演じるのは双子の兄妹、斯波主膳之助と獅子丸実は琵琶姫。
人物的には二人ですが、琵琶姫が男装して獅子丸になるので実質は一人三役。
歌舞伎の世界では男性の役を演じる俳優さんを立役、
女性の役を演じる俳優さんを女方と呼ぶそうですが、菊之助さんはそのどちらも演じます。
そして、更に、今回は女性が扮する男性、獅子丸も演じる。
お姫さまの時は本当におきれいやし、主膳之助の時はカッコよく、
獅子丸の時はどことなく可愛い。当然とはいえ、立ち振る舞いだけでなく、
三役それぞれの声を使い分けてはるんですが、そのどれもが素晴らしい。
声が凄くいいんだよね。惚れ惚れ~。

それと、情熱大陸でもやっていましたが、二幕始まりの獅子丸の踊り。
いやー、素敵でした。日本舞踊で感動したのは本当に久しぶりというか、
ほとんどないんですが、よかった。きれいなの~。
そして、ただきれいなだけでなく、気持ちというか、魂が篭もってる。

それぞれの役の間での早替りも多かったんですが、それがもうお見事で!
歌舞伎の早替りという技?(というとなんですが)は凄いとは思うけど、別になくても、
という私でしたが、今回のは素晴らしかった。衣装が替わるだけでなく、
その瞬間に人物そのものが替わるのですが、その様がまたお見事でした。
お父上の菊五郎さんの早替わりも多く、スタッフの皆さんも大変だったと思います。
初回は丸尾坊太夫と捨助が菊五郎さんの一人二役とも気付いておらず。。。
遠くから見ていたら、全く別の人に見えたんだもんー。 ← 相変わらずのアホ
菊パパは捨助がよかったです。

女方といえば織笛姫役の中村時蔵さん。きれいだ~!
しかも若々しい、見るからにお姫様。お声の感じに少し違和感を感じましたが、
まさか、まさか、50歳半ばとは。。。騙されました。(笑)

麻阿役の市川亀治郎さんこと、亀ちゃん。(勝手に、すみません~)
もうともかく楽しい。大笑い。匍匐前進は可愛いしー。
何をしても可愛らしくて、亀ちゃんが舞台に出てくるとつい目が釘付け。
本当に上手い役者さんですね。いやー、笑った、笑った。
それと、私達の間では勝手に金ちゃんと呼んでいる、
右大弁安藤英竹役の中村翫雀さんも可愛くて、おかしくて、笑える。
菊之助さんと翫雀さんの決闘シーンでは、お二人が上手と下手に分かれて、
いろいろとやってくれるのでどっちを見たらいいやら、忙しかった。
ともかく、お腹の底から笑える舞台でした。楽しい、楽しい。

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客席の反応もとてもよくて、最初に観た三等席は若い人達も多く、
私と同様に歌舞伎を観慣れていない雰囲気の方がちらほらいらしたのですが、
終った後に「おもしろかったね!」と嬉しそうに喋る声が聞こえてきました。

その初回。隣のカップルの観劇マナーがよくなく、
女性がイヤホンガイドの解説を男性にぼそぼそと話したりとか、がさごそと騒がしく、
前半は気になってしょうがなかったんですが、男性は凄く楽しんでいる様子で、
「すごい」とか「きれいやなあ」とか本当に素直に声に出るの。
声に出されるのは普通なら困るんだけど、彼の場合はその点は不思議と気にならず。
幕間に「解説なんてなくてもあそこでは笑えるやろ、おもしろいなあ」と
彼女さんに言ってました。(それ以降、彼女も解説はしなくなって、ほっ)
この男性は笑い方も豪快で、楽しんでるのが伝わってくるから、まあ、いいかなと。
歌舞伎の常連さんぽい着物姿の男性も何人かいらして、
「○○屋!」の掛け声も多く、活気のある楽しい日でした。

ちなみに、三等席は3階なんですが、松竹座の3階は思ったよりも近く、
舞台全体が観やすくて好きです。その後に観た1階席の方がもちろんよかったんですが、
三等席はお値段がとても手頃なので、十分に満足できます。

この後、楽しかったのでダーリンも誘って再度観ることに。
ダーリンは蜷川さんで歌舞伎ということで乗り気じゃなかったんですが、
観てみたらとても気に入って、もう一度観たかったー!と叫んでました。(笑)
ほらほら、やっぱり、よかったでしょ。^^

そんなわけで、ロンドン公演の模様がNHKで放映されるとわかった時は
二人して喜んだんですが。。。

録画を忘れてしまったの。ああ、私ってば。(涙)
再放送してほしいなあ。NHKさん、よろしくお願いします~!

カテコ。歌舞伎では最後に拍手して終わりなんだろうけど、
何度かありました。本当はスタオベしたかった~。すればよかった。
(歌舞伎ではスタオベというのないみたいなんですが。。。)
でも、凄い拍手と大声援でした。観終わって幸せになれる、
そんな舞台。

またいつか観てみたいです。


タグ:舞台
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コメント 5

ぶるです

桜が美しかったですよね!

「麻阿様」コト亀ちゃんの愉快な事・・・
最初から最後まですごく楽しめた舞台でしたね!!

母はいつもの歌舞伎とは、趣向が違ったので
少し、びっくりしていましたが、喜んでました。
by ぶるです (2009-10-27 08:53) 

kanon

ぶるさん、おはようございます!

桜はきれいでしたねえ。
亀ちゃんはともかく楽しくて、笑わせてもらいました。

お母さまとご一緒だったのね。
それは楽しまれたことでしょう。親孝行だね。^^

by kanon (2009-10-29 08:23) 

kanon

nice!をくださった皆さま、ありがとうございます♪
by kanon (2009-10-29 08:24) 

Peridot

やはりお芝居の原点ってシェイクスピアなのかなーって思います。
そこからたくさんのアレンジが生まれていったっていうか、
だからこそまたシェイクスピアに戻るっていうか。。。って
よく分からないコメントでゴメン(笑)。
by Peridot (2009-11-03 15:17) 

kanon

Periちゃん、こんばんは。

いや、言いたいことはよくわかるよ。
確かに、お芝居の原点という感じはするよね。
英国で観たシェイクスピアは喜劇ばかりだからかもしれないけど、
親しみやすい、観客参加型の印象が強くて、
決まった様式もあるんだろうけど、大衆芝居というか、
これこそエンターテイメント!という気がしましたよ。
by kanon (2009-11-04 22:27) 

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